1990年に建てられた東庵。日本の民家としての木造平屋に、それまで旅していた中国の パタンやディテールを意匠として取り入れられ、独特の雰囲気が醸しだされています。そして、何よりも「水辺の生活」が出来る池が、敷地の北東側にあったことです。東に設けられた月見台。庭の緑と池の水面が目に入ってくる。 同レベルでリビングスペースに続いている。
リビングのはめ殺しの大きな窓から、ここに 住む理由となったその池が、まるまる見渡せ る。季節によってたたえる水の色を変え、空 や樹々、桜などの様子を映し出す。東京の都 心、九段に生まれた中田さんは、皇居のお堀 で釣りをし、そこに映る桜を見て育った。「水辺や木造平屋というのは、僕にとっての原風景なのかもしれません」。
外壁や屋根、柱梁など、建築の主な部分は黒 に統一されていますが、黒は日本の風景に最 も似合う色だとか。室内に入ると、床や壁、 天井に自然素材が効果的に使われ、ひんやり とした空気と、居心地の良さが感じられます。 暖炉の燃料としての薪は遠赤外線を出し、最 も身体に良いと言われています。この暖房一 つで冬でも玄関まで暖かくなるという。